検証「消費増税前に家電を駆け込み購入した人は損をした!」
2016/07/19
消費増税前の家電の駆け込み購入は得するの?損するの?
消費増税10%を控えた、2015年に生きるあなたに伝えたい。「消費増税前の家電の駆け込み購入は損をする!」
※10%への増税は2019年10月に延期になりましたが、10%になる前提で話を進めます。
今となっては誰にも読まれていない消費増税前のこんな記事で「駆け込みしなくてもよくね?」と書いてみました。
関連記事 迫る増税!今買うべきもの・買わなくていいものリスト
ただいま、2014年7月1日。2014年4月1日の消費増税5%→8%から、早3ヶ月が経過したところです。
食料品、消耗品への増税の影響はじわりじわりと家計に響いているのを実感しますが・・・。駆け込み需要の筆頭株「家電」は、結局どうなったの?値段は高くなったの?騒いだわりには誰も検証していない。
消費増税前後の家電の値動きを振り返ると、想像以上のひどさ。結果的に、大物家電を駆け込み購入してしまった人の家計の傷口に塩をグリグリとすり込むエントリーです。
photo credit: ABC Archives via photopin cc
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消費増税前の家電の値動きを検証してみる
サンプル抽出条件と前提
絶対にやらないけど自分が「駆け込み購入」するならこれ買うかな、という家電をサンプルとしてピックアップ。
どこの家にもある大物家電、テレビ・ブルーレイレコーダー・冷蔵庫・洗濯機・電子レンジあたりを。
パソコンも入れたいところだけど、消費増税前後は2014年4月のWindowsXPのサポート終了騒動も重なって「品薄で売るものがない」という異常状態だったためサンプルにならない。あとエアコンも入れたいけどもろに季節商材なので、価格変動データとしてどうかな?と今回は検証を見送ります。
サンプルの抽出条件です。
- 価格.comの各カテゴリの売れ筋トップ10(2014年7月1日現在)から価格帯まんべんなく、あまり考えずに4例ずつ価格変動を抽出。
- 半年間(2014年1月1日~2014年7月1日)の価格移行データを取るため、2014年1月以前に発売された家電が対象。
- カラー人気によって価格差があるのはわかっている。複数カラーがある場合は、自分が買うであろう色を選択。
- 増税と春の新生活需要が重なって、家電業界活況で在庫が薄い時期だということも重々承知している。
- 家電の種類により発売シーズンがあり、発売後、家電は徐々に値段が下がるものという前提も承知している。
- 価格.comのグラフは、2014年3月31日以前は5%の消費税込み。4月1日以降は8%の消費税込みである。
個人的に愛用の価格検索サイト「ベストゲート」の価格変動グラフを引っ張ってこようとしたのだけど、画面キャプチャー結果が見にくいので、グラフがシンプルな「価格.com」からお借りしました。
関連記事 価格比較にまだ価格.com?最安値探しは「ベストゲート」でしょ
価格.comには公式に「4月以降もお買い得?消費税増税後の価格変動特集」というサイトで、4月以降の価格動向がわかるように特集しています。しかし、4月以降の価格しか掲載しておらず、増税前に価格がどうなって、増税後にどうなっているのかというのがこのサイトの価格変動グラフじゃわからない。
価格.comは、掲載している家電量販店の広告費などで稼いでいるので「真実を隠したいのかな?」なんて邪推してみたり。
では、それぞれの2014年1月1日~7月1日の価格変動を見ていきます。
液晶テレビの価格変動
再確認ですが、3月と4月の間の線のタイミングで消費税が5%から8%へ。グラフは、消費税5%と8%「込み」の価格変動です。当然、4月1日から全部3%高くなっている「はず」。
グラフは青の線が「平均価格」、ピンクの線が「最安値」となります。ピンクの「最安値」を注視したほうが、問題がシンプルでわかりやすいかも。
まず、人気の20万円台の60型液晶テレビ。2月、3月で価格高止まりのまま、増税後の4月に入り値下がる傾向。
同じく60インチだけど発売後1年以上経過のモデル。平均価格は増税後少し上がるも、最安値はさして大きな変動なく、そのまま下がって今。
10万円台の42インチ。増税後に増税分3%の3,000円が加算されたとしてもそれを超える平均価格が1万円近く上昇。増税の影響か。ただこちらも最安値は平均価格ほど変動なし。
10万円を切る42インチ。増税?なにそれ?みたいな、さして大きな値動きなし。
どれも消費増税分3%は確実に上がっているはずで、平均価格、最安値、どちらもグラフが4月1日で上向くだろうと思いきや・・・あれっ?
ブルーレイレコーダーの価格変動
7万円台の上位機種。ユーザーの駆け込みで足元見ているのか、需要の高い3月に高値をつける。4月半ばには下降を始める。
5万円台の中位機種(このラインが売れ筋)。3月末に価格が上がりきって、その後は下降へ転向。
メーカーの違う、5万円台の中位機種。これは増税関係なしで時と共にただ値段が下がっていくだけ。
そして3万円台の下位機種。最安値は増税の影響を受けているようにも見えますが、こちらも4月半ばには安値へと転じています。
テレビもブルーレイレコーダーも、3月は駆け込み需要があって黙ってても売れるので最安値が高止まりしている傾向が読み取れます。そしてそこから右肩下がり。
もうこのへんで、「誰だよ。4月に家電が高くなるから早く買っとけって言ってたやつ!」っていうツッコミが出てくる頃。
冷蔵庫の価格変動
最近の上位機種の冷蔵庫の引き出しは電動らしいです。重いのを引き出さなくて済むように。「冷気が逃げるから早く閉まってよ!」ってなりそうです。高い冷蔵庫を買える人は、そういうチマチマした節電は気にしないのか。
話戻して、この10万円台後半の上位機種の冷蔵庫は、2月に底値をつけて、3月に最高値。逆に4月に入って下降。この冷蔵庫を1万円以上価格が上がった3月に買った人、泣いているだろうな。
違うメーカーの10万円台の同等ライン。同じく、3月末が価格のピークで、4月から下落へ転じています。
5万円~10万円台の冷蔵庫が売れ筋トップ10入りしていなかったので、サンプル抽出できず。
次は、3万円台の一人暮らし用冷蔵庫。このへんは大きな値動きがない。消費税の影響か、4月に入って最安値が少しだけ上昇し、すぐに下降。
最安の価格帯2万円前半台の冷蔵庫。
3月中旬から徐々に平均価格上がって6月に入って最高値。こういうパターンもあります。最安値は3月~4月にかけて一本線ですし、これは消費税うんぬん関係ないのかもしれない。
下位ラインの冷蔵庫の価格変動には消費税が多少影響しているのかもしれません。
しかし、10万円超え冷蔵庫の他モデルも、軒並み高値は3月にどれもつけており、4月以降に下落。この傾向はけっこう興味深いです。
洗濯機の価格変動
次、洗濯機を見ていきます。
上位機種18万円台の洗濯機。3月~4月頭に高値をつけ、その後下がっています。価格が高い家電は、どれもこの3月高値の傾向が強いです。
売れ筋の上位に並ぶ価格帯6万円~7万円の洗濯機。4月以降にひゅーんと下落。その前になんだよ、この1月の15,000円近い価格急上昇。
こちらも同じく笑っちゃうくらい1月に値を釣り上げ。悪意を感じる。そして、売れ筋モデルなのに4月以降下落。
一人暮らし用の下位モデル。3万円台の洗濯機。
これも1月中から価格上昇、増税後の4月初旬に高値をつけ、4月中旬には下落に転じます。ちょっとは増税の影響ありでしょうか。
冷蔵庫同様、高額機種はひどいものだと1月にしれっと2割以上も値段を上げ、2月と3月が高くて4月に安値に転じます。安い機種の価格は、消費増税の影響を受けやすいようです。
電子レンジ・オーブンレンジの価格変動
最後、電子レンジ・オーブンレンジを見ていきます。
上位機種7~8万円台。2月、3月にじわりじわりと上がって高値安定。4月以降に安くなっていってます。キレイな滑り台だこと。
中堅機種、4万円台。かなりの売れ筋ライン。3月に高値をつけて、4月下落、5月に盛り返して安定しています。
電子レンジはこの2万円台後半~4万円前半台の価格帯が、ランキングトップ10のうち6機種を占めています。
同じく3万円台の中堅機種。2月、3月に高値で安定して、4月頭に増税の影響かちょっと上がって、その後どーんと急降下です。
電子レンジの最安値ライン、1万円台前半。増税の影響を受け、高値を4月につけますが、その後下落して元に戻ります。
なんだか傾向が見えてきましたね。まとめます。
まとめ「消費増税で家電駆け込み購入は確実に損をする!」
増税前後の家電の価格動向
photo credit: Alba Soler Photography via photopin cc
- 駆け込み需要が増えて黙ってても売れるため、増税2~3ヶ月前くらいから価格が1割、ひどければ2割も上昇するボッタクリモードとなる。価格が高い家電はきっちり事前に値上げする傾向が顕著。
- 増税1ヶ月前は特に高値で安定したまま。増税直前半月前の駆け込み需要最盛期にだいたい最高値を更新する。この段階での価格交渉はもはや困難かと。
- 駆け込み購入は結局需要の先食い。増税後は売れないため、半月くらい経てば軒並みじわりじわりと下落に転じる。
- 家電への増税の影響は、増税1ヶ月~2ヶ月後にはほとんど解消され、増税前と同じかさらに安くなる。
- 価格の安い、下位モデルは利益が薄利のため増税分はきっちり転嫁される傾向にある。唯一の駆け込み商材。
要は、「高い家電」は「待て」、「安い家電」は「まあ、行ってもいいんじゃない?」です。結局、お金持ちほど損しているのかもしれません。お金持ちはそんなに安値にこだわらないか。
全部が全部じゃないけど、強引にまとめるとこんな傾向になります。
価格は「需要」と「供給」のバランスから決定しており、駆け込み需要が高まる増税前には在庫も少なくなり、価格が高くなるのは当たり前。放っておいても売れるのにわざわざ安値を続けるのは単なる「お人好し」で、「商売人」ではない。
残念ながら、今回の2014年4月の増税前、2月と3月に大物の家電を駆け込み購入した人は、ほとんど損をしてます。すごく混んでましたもんね、3月の家電量販店。
バカ混みの家電量販店で時間かけて並んで買って、増税3%分を得した!とホクホク顔だったはずなのに、実は事前に相場全体が値上げされている家電を高値掴みしていた。悲しいかな、これが現実です。
消費税10%に向けた対策
photo credit: undefined by Thomas Leuthard
2014年4月の増税2~3ヶ月前、今回だと1月か2月には、家電が値上げされる傾向が見て取れます。
壊れてどうしても家電を買い替えせざるをえないなどの場合、遅くとも増税3ヶ月前には購入を計画的に完了させておいたほうが良さそうです。直近の価格動向と、最安値のリサーチといった事前準備もお忘れなく。
あとアップルの製品などそもそもの値動きの少ない家電を買う予定なら、増税前に。
基本、賢い消費者は、駆け込み購入には参戦せずに傍観する。
はて、次回の消費増税時にはどういう値動きをするのだろうか?
これだけ増税後に値段が下がる傾向が見えれば、増税前の家電の駆け込み購入は「別にあえて飛び込まなくてもいいよね?」。おわかりいただけたかと思います。
次回は+2%の増税。1万円で200円。2万円で400円。10万円で2,000円の負担増。駆け込み客でバカ混みの店内で、店員の空き待ち、レジ待ちをする労力を考えたら、後日の下落や価格交渉でどうにでもなる金額のような気がします。
どうぜ家電量販店は、10%増税前になれば「増税前に購入を!」とまた騒ぎ出します。マスコミも騒ぎます。その時は、ぜひこの記事を思い出して「フンっ!そんな手に乗るかい!」と鼻であしらってやってください。
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