なぜ自動改札の扉はベビーカーや幼児が通っても閉まらないのか?
駅の自動改札をベビーカーで通るのが苦手です。
通路幅に対してベビーカー幅は余裕あるし、颯爽と通過するかっこいいパパな脳内シミュレーションは完璧なんですが、なぜかいつも車輪がひっかかって力任せにえいやあと通る。ダサい。
結局、スムーズな通り方を僕がマスターする時を待たずに、息子が先にベビーカーを卒業してしまいました。
さて、ベビーカーの時もそうでしたが、今度は歩くようになった息子の手を引いて自動改札を通る際に「いきなり扉が閉まって子どもの顔にバコーンとぶつかったりしないのだろうか?」と不安になります。
僕に息子の身体を寄せて通るようにしており、息子と2人で通っても扉が閉まったことは一度もないので何らかの制御が働いているのは知っている。おそらく心配する必要はないのだろうけど、なんだか通るたびにほんのちょっとだけ心配。
なので今回は「自動改札機の扉ってベビーカーや幼児が通ってもなぜ閉まらないの?」「幼稚園までは電車賃は無料、小学生からかかるけど、ここの区別は自動改札でどうやってるの?」を調べてみることにします。
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自動改札機はどうやって判別しているのか?
「幼児」の定義をおさらいしておく
鉄道(例:JR)における定義は
- 幼児:6歳未満
- こども:6歳以上12歳未満
- おとな:12歳以上
と区分けされ、ベビーカーに乗っていたり未就学の幼児の運賃は無料。6歳以上からこども料金としておとなの半額の運賃が発生します。
あと「おとな」または「こども」1人あたり同伴できる「幼児」は「2人まで」です。
「幼児」と「こども」を判別する仕組み
まず、6歳以上の「こども」の乗車券・定期券を利用した際、自動改札は「ぴよぴよ」と音が鳴り、ランプが点滅します。
これはおとながこども料金で悪いことをしないよう警告の意味も含まれている。窓口の駅員さんのチェックも入りますが、性善説に基づいているところもありそう。
では、6歳未満の「幼児」と、6歳以上の「こども」の違いを自動改札機はどう判断しているのか。
実は、調べまくったのですが確かな情報がどこにもない。なんだそりゃ!ってモノ投げないでー。
たぶん日本で唯一でしょう、自動改札を細かく解説した本「ICカードと自動改札」(著者はJR東日本メカトロニクス株式会社の社長)も読破してみたけど、幼児とこどもの見分け方については一切書かれていませんでした。読み終わって、いやもうがっくりですよ。
でも考えてみれば、仕組みを大々的に公開すると悪用する不届き者が出てこないとも限らず、鉄道会社や自動改札機を作るメーカーが「これこれこういう仕様で判別しています」と公表することはないのかもしれない。
なので情報の断片から推測するに、どうやら自動改札機についた「追従型センサー」で通過する乗客の状態を細かく判断し、区別しているようです。
自動改札機に通過する乗客の挙動をセンシングする「追従型人間検知技術」を開発しました。
自動改札機の進入から退出までの状態を検出するために、列状に複数個の追従センサを配置し、隣り合う2-3個センサの状態により、通過乗客の挙動を追従・分析します。
これにより乗客や手荷物を正しく区別するなど正確に検知し、扉制御と連動した確実な改札処理を実現しています。
引用 オムロン「自動改札機」
センサーによって小学校2年生男児の「平均身長122.5cm」と同じくらいの高さで判別し、6歳未満の「幼児」と、6歳以上の「こども」の区別もしているとの情報もあります。
成長の早い幼児がこども扱いされることもあるかもしれないため、このあたり、かなり緩めの識別設定をしているはず。
センサーをすり抜けるべく大人がかがんだりして通過は可能かもしれません。やったことないから知らないけど。
しかし、上の引用のようにセンサーも年々進化して賢くなっているし、仮に駅員に捕まると不正乗車で「正規運賃+運賃2倍の罰金+定期券だったら没収」の罰を食らうのでやめておいたほうがいいです。
ここでいったん強引にまとめておくと「複数個の最新追従センサーによって、自動改札機を通過する乗客の状態をリアルタイムで検知して扉を制御している。だからベビーカーや幼児が通ってもきちんと自動改札機が瞬時に検知しており、扉が閉まるようなことはない。6歳未満の幼児と6歳以上のこどもも、センサーによって判別している」という結論になります。
正直、これでは確実に「扉が閉まることはない」という担保にはならず不安は払拭されたとは言いがたいのですが、情報がこれしかないので何とも。もう日本の技術を信じるしかない。お手上げです。
おまけ:自動改札機のマメ知識あれこれ
調べている過程で知ってしまった自動改札機に関するマメ知識10個を披露してお茶を濁しておきます。よろしくお付き合いください。
- 自動改札は不正乗車防止を狙って導入。1990年当時のJR東日本における不正乗車による損失額は最少でも300億円とされていた。
- 乗車駅と降車駅付近だけ定期券や乗車券を持ち途中をただ乗りする「不正乗車」が、両端は金属で途中は竹であるきざみタバコを吸うキセルに似ていることから「キセル」と言われるように。
- 自動改札機のシェアは、オムロン、東芝、日本信号の3社が占めている。
- 最近は電子マネーの支払いが増え、きっぷの磁気読み取り部分、券の搬送部の出番が減ったため、トラブルやメンテナンス頻度も減少。
- チャイム音とともに閉まる扉の正式名称は「フラップドア」
- 自動改札機の最大処理能力はドア式で70人/分、ターンバー方式(ディズニーランドの入園口のやつ)だと40人/分。日本の朝のラッシュ時、改札1通路あたり平均55人/分程度のため、ターンバー式は日本のラッシュ時に対応できない。
- ICカードの短辺の「切り欠き(欠けている部分)」は、目の不自由な方が券種と、機器へ投入する場合に投入方向を判別するためのもの。切り欠き1個は定期券・SFカード。切り欠き2個はSF専用カード(記念カードなど)
- ICカードが届く範囲は、自動改札機のタッチ部分の上部に半径10cm程度の半球形のアンテナがあるイメージ。
- タッチ処理ミスを防ぐため、JR東日本は「タッチ&ゴーキャンペーン」や「タッチ1秒と案内を自動改札に貼る」などで通信範囲への滞留時間の増加や、カードのかざし方のばらつきを減少させている。
- 自動改札機の価格は最低でも700万円(1枚きっぷ通すだけのもの)。2枚改札やICカード対応など多機能化すると1台1,000万円以上。新幹線の自動改札機は1台1,000万円~2,000万円。
考えたこともなかったけど、駅の改札にある自動改札機の台数を数えて「この改札は総額1億円だな!」とかしばらくやりそう。やらんか。
参考 ICカードと自動改札/OMRON「自動改札機」/グッドデザイン賞「新幹線用改札機」
まとめ:自動改札機のセンサーは賢いから大丈夫。だと思う。
JR東日本の場合、初代の自動改札機は1990年代初めに導入され、2000年代初めから第2世代自動改札機へ取り替え。
そして2012年7月から、第3世代の自動改札機が導入されています。
第2世代から第3世代へは、人間検知センサーの機能向上などで安全性がアップしたそう。具体的には
- ラインライトで通行可「青」、通行不可「赤」のライトを明確に表示。
- 通行不可を検知するタイミングを早めたことで、早めにドアが閉まるように。
- ドア衝突時の緩衝機構の向上。
- 自動改札機本体の幅を20mm薄くして通路幅を広げる。
- きっぷの投入口、放出口を大型化し、利用者が使いやすく。
など、「確かに言われてみれば、ラインライトがつくようになったな!」と。自動改札機は日々進化しています。先ほど紹介した本「ICカードと自動改札」からの受け売りです。
もちろん、ベビーカーや幼児の判別をするセンサー機能も向上しており、自動改札機が誤って扉を閉じてしまい子どもがぶつかるようなリスクも激減しているはず。
逆に、親のICカードのタッチミスやチャージ忘れで扉が閉まって子どもにぶつかったり、子どもがだあーっと自動改札に駆け込んで扉が閉まったりと、そういう確率のほうが高いのかもしれません。
最新型自動改札機の機能を信用しつつも、機械なので何があるかはわからない若干の不安は残る。結局は、我が子の安全を守るのは親の役目、という結論に落ち着きます。
ベビーカーでゆっくり通ったり、子どもの身を引き寄せたり抱っこしたりと、従来通り、子連れの場合はきちんと目を配りつつ自動改札を慎重に通るのは継続し続けたほうが良さそうですね。
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Comment
駅の改札も色んなセンサーを組み合わせてやってるんですねー
正確な仕様は納入しているメーカーと納入先しか分からないでしょうね(^-^;
悪用されるというのもありますし、他社が簡単にマネしても困るでしょうし。。
話は変わりますが、etcのゲート作った人が、あーいうのはお客様(高速ならネクスコ)がすごっい厳しい要求してくるのでメーカーは物凄く頑張って調整するそうですよ
なので基本的には安心して使用して頂きたいと
でもごくごく稀にエラーが出ることもあるので、事前にお願いしている通りスピードは徐行でお願いします、とのことでした
駅の改札から話がズレてすみません
メーカーの人間がんばってますよーっていうアピールでした(;^_^A
りさこさん
コメントいつもありがとうございます。
他社が真似しても困るという発想は確かに、と思いました。ETCの話も興味深いです。結局、メーカーの人はがんばってるけど、所詮は機械だから人間も過信はせずにうまく使いこなしていかないといけませんね。
子供かそう出ないかは簡単にいうと下にあるセンサーと上にあるセンサーで見分けています
身長120cm以下では上にあるセンサーに反応されません
大人がしゃがんでも不正に通行することは可能ですよ
維持七瀬さん
コメントどうもありがとうございます。
そうなんですね。勉強になります。ありがとうございます。
いえいえ、お役に立てたのなら幸いです