親に問われる赤ちゃんや幼児に対する危険回避能力を鍛えよう。よその家の子の怪我やヒヤリ体験から学ぶことは多い。
2015/11/06
- 製品:チューイングキャンディー
- 状況:のどに詰まった
- 性別年齢:女0歳
- 詳細:2か月の時、2歳のお兄ちゃんがいつの間にか食べさせてのどに詰まらせた。
このシチュエーションを想像しただけで「ひえぇー」と背筋に冷たいものが走った。
子育てをしていると親が「ヒヤリ」「ハッと」する場面に直面することがあります。しかし、それはあまり表に出てこない。
ヒヤリとしたけど、結果、なにごともなく胸をなでおろす。そしてそこに残るのは親の「後ろめたさ」
「自宅で散髪していたら子どもがいきなり頭を動かしたので耳にハサミが突き刺さるところでした。テヘっ♪(※我が家で先日あった実話)」なんて、脳天気にブログにでも書こうものなら「こいつあほちゃうか」と炎上まっしぐら。責められるのがわかっているので、ヘタをすれば一番身近な旦那さんや奥さんにさえ報告せず黙っている可能性も否定できない。
そうやってヒヤリの事例は表立って誰かに伝えることもなく、日々の育児に忙殺され闇に葬られていくわけです。
そんな毎日の育児における「ヒヤリ・ハット」=「重大な災害や事故には至らなかったものの、直結してもおかしくない一歩手前の状況」の事例を東京都がまとめた結果が先日公表されました。
アンケート対象者は、保護者3,000人。かなり多くの事例が掲載されており、幼児を持つ親は絶対に調査結果を読んでおいたほういいと思う。
今回は、よその家の子の「実際の怪我の事例」「怪我に至らなかったヒヤリハット事例」を調査結果から一緒に見てみましょう、というエントリー。
Photo: Small boy Rundle Mall Adelaide by Les Haines
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子どもの危険はどこに潜んでいるのかを学習する
調査対象は「東京都及び近県に居住する未就学児(0歳児~6歳児)の保護者3,000人」
結果はこちらです。あとはそれぞれご確認ください。
参考 東京くらしweb「ヒヤリ・ハット調査 「乳幼児が使う製品による危険」「乳幼児を育てるために使う製品による危険」」
とリンク張ってもほとんどの人が読まないと思うので(めんどくさくて自分も読まない)、代わりに5分で読めるよう要点を整理しておきます。
以下、グラフや事例は調査結果よりお借りしました。
0歳児~6歳児の事故の傾向
まず、「意外と経験者が少ないな!」と思ったのがこの回答。
「おもちゃ」「飲食物や子供が使う食器等」「衣類、アクセサリー等、身に着けるもの」などで、子どもの実際の怪我、ヒヤリハットの経験がある親は、3,000人のうち794人。全体の「26.5%」
「移動用具(※だっこひもやベビーカーをまとめた総称)」「乳幼児向け安全グッズ」「衛生用品」などでの、実際の怪我、ヒヤリハットの経験がある親は全体の「32.0%」。残りの68%は「ない」という。
ヒヤリと感じるレベルは人それぞれ。極端な話、死にかけないと危機感を抱かない人もいるはず。
アンケート結果の事例も「重大な事故」から、こう言っては悪いけど「軽微なエピソード」まで幅があります。もちろん軽微と感じるのは自分の感覚であって、他人には重大な出来事の場合もある。
このヒヤリハット経験者が全体の「3割」というデータは、回答者の感覚の差がもろに出た結果ではないかと思う。今回このエントリーを書くにあたって、調査結果を端から端まで全部読んで抱いた感想は、「アンケートの問いの方法と回答者をリードするやり方がド下手」
まあお役所仕事ですね。回答例や程度レベルをきちんと明示するだけで、もっと多くの事例を引き出せて数字は大きく変わっていたはずです。もったいない。
文句言ってもしょうがないので次いきます。年齢別の事故経験、ヒヤリハット経験の年齢の分布は以下の通り。
「おもちゃ」「飲食物や子供が使う食器等」「衣類、アクセサリー等、身に着けるもの」でのヒヤリハット経験の年齢。
「移動用具」「乳幼児向け安全グッズ」「衛生用品」でのヒヤリハット経験の年齢。
ベビーカーや抱っこ紐、幼児向け安全グッズなどでの危険は「0歳」「1歳」がピーク。
逆に子どもが動き出して自ら危険を招くおもちゃや食器類は「2歳」「3歳」に危険の山あり。
親はいつでも気を抜いてはいけないですが、「突拍子もないことをする0~3歳児は特に注意しなければいけない」というのがよくわかります。
そして男女比を見ると・・・、「女子」より「男子」が多い。うむ。それはすでに知っている。
「乳幼児が使う製品による危険」を見てみる
「おもちゃ」「飲食物や子供が使う食器等」「衣類、アクセサリー等、身に着けるもの」「その他、子供向けの日用品等」ではどのような危険があるのか。
ざっとポイントだけピックアップしてみます。
おもちゃで実際の怪我に繋がったのは「三輪車」「知育玩具」「ミニカー」がトップ3。
例えば三輪車。「そんなわけないやろ」と思わずツッコミを入れたのがこれ。
- 製品:三輪車
- 状況:転倒
- 性別年齢:男4歳
- 詳細:三輪車なのに転んだ(転ぶことはないと思っていた)
まさに、親の感覚は「人ぞれぞれ」の典型。
三輪車は圧倒的に「転倒」、おもちゃは「踏みつけ」や「誤飲」の事故が多いとのこと。
食器類の事故も怖い。フォーク、箸はもう凶器だね。
- 製品:フォーク
- 状況:転倒して歯を折った
- 性別年齢:女1歳
- 詳細:フォークをくわえたままジャンプをして遊んでいて転んで歯を折った。
- 製品:箸
- 状況:転倒して切った
- 性別年齢:男2歳
- 詳細:箸を持ったまま部屋を歩き回っていて転び、まぶたの辺りをその箸で切った。目に刺さらなくて良かった。
親が加害者になるパターンも。
- 製品:箸
- 状況:刺さった
- 性別年齢:男5歳
- 詳細:ふざけながらご飯を食べていたので注意したら、ビックリしたらしく歯茎に先端を指して出血した。
注意の仕方も考えないといけません。
よく聞く話、歯ブラシも事故例が多数。
歯ブラシ、箸、フォークをくわえて歩きまわらせない、くわえたまま何かをさせない、ここはほんと基本中の基本だと改めて痛感したしだい。
でもって、全体を通じて「意外と盲点かも」と思ったのが
- 100円ショップで購入など「安もの」が壊れて刺さる、誤飲のリスク
- 商品の「経年劣化」により破損して刺さる、誤飲のリスク
この2つのポイント。子ども用アイテムは使う期間が短いので手軽に安い100円ショップで購入したり、お下がりで長く使い続けたりはよくある話。
安ものや経年劣化までを考えて目を行き届かせるのは大変ですが、手元で毎日使っているアイテム、傷んでいませんでしょうか。大丈夫ですか。
「乳幼児を育てるために使う製品による危険」を見てみる
「移動用具(※だっこひもやベビーカーなど)」「乳幼児向け安全グッズ」「衛生用品」「その他、乳幼児を育てるために使う製品」ではどのような危険があるのか。
- 製品:抱っこ紐
- 状況:装着時
- 性別年齢:女0歳
- 詳細:抱っこからおんぶにしようとしたら隙間から落ちてしまい、頭を強打して真っ青になっておう吐したため救急車で病院へ行った。
- 製品:抱っこ紐
- 状況:保護者の転倒
- 性別年齢:女0歳
- 詳細:急いでいて走ってしまい、前に転倒した。抱っこひもで抱っこしていたので手を上手くつけずにコンクリートに赤ちゃんの頭を強打した
- 製品:スリング
- 状況:保護者の転倒
- 性別年齢:女0歳
- 詳細:保護者が、スリングでだっこして走って転んでしまい、子供がスリングから落ち、頭蓋骨骨折をしてしまった。
いやもう、苦しくなって読んでいられません。
抱っこ紐からの落下、ベビーカーの転倒など、事故例がこれまた多い。
子供乗せ自転車のヒヤリハットでも、「こんなことあるのかいな!」と一番仰天したのが
- 製品:自転車の幼児用座席
- 状況:座席がはずれる
- 性別年齢:男2歳
- 詳細:子供を幼児用座席に乗せて、子供にはシートベルトとヘルメットをつけていたが、いざ出発してカーブを曲がったら幼児座席ごと子供が落ちた。背もたれ付きだったのでひっくり返っただけで手を擦りむいた傷だけだった。私たちの後ろに車が来ていたら確実にひかれていたと思うと今でも心臓が爆発しそうになる。
慌ててうちの子供乗せ自転車をチェックした。
その他、「乳幼児向け安全グッズ」でもヒヤリハットあり。
- 製品:コンセントキャップ
- 状況:口に入れる
- 性別年齢:男2歳
- 詳細:壁のコンセントから猫の形をしたかわいいコンセントキャップを自分で外し、キャップを口に入れて飲み込んでしまった。吐き出すことができなかったので、病院に連れて行った。
思い起こせばうちの息子もコーナーガードを知らぬ間に引き剥がして手に持っていたことがありましたが、乳幼児の安全のためのアイテムが危険となる逆効果の報告は多いです。
「衛生用品」でもこんな事例。
- 製品:綿棒
- 状況:耳に入れて遊ぶ
- 性別年齢:男2歳
- 詳細:落ちていた綿棒を2歳の子供が耳に入れて遊んでいたところ、間違って他の兄姉がぶつかってしまい、 綿棒がさらに耳の奥まで入り鼓膜を破る怪我をして病院に救急搬送された。
- 製品:綿棒
- 状況:親の真似
- 性別年齢:男2歳
- 詳細:親の耳掃除の真似をして、6歳の兄が弟の耳掃除をしていて、外耳炎になった。
綿棒、耳かきの事故例は多く、親は気をつけないといけませんね。
全体を通じて目についたのは、厄介な「親の真似」
上の綿棒もそうですし、「親がストーブカバーを開けて火をつけているところを見て真似をした」といった事例もあり、ここはなかなか悩ましいポイント。ずっと対応策を考えているのですが、親が隠れてやるにも限界があるし、逐一どこまで言い聞かせておけばいいのかの限度もわからず、効果的な方法が見つかりません。
どなたか有効な方法をお持ちでしたら、ぜひ教えていただきたく。
参考 東京くらしweb「ヒヤリ・ハット調査 「乳幼児が使う製品による危険」「乳幼児を育てるために使う製品による危険」」
まとめ:よその家の危険事例から学ばせてもらう
Photo: The Eyes of A Child by Jeffrey
調査から、乳幼児が使う製品による怪我、ヒヤリハットの「原因」で圧倒的に多いのがこの2つ。
- 保護者が乳幼児から目を離した。
- 乳幼児が保護者の予想しない行動をした。
「いつどこで子どもから目を離したら危険なの?」
「親の予想しない行動って、そもそも予想不可能だよね」
答えがここにあります。今回紹介した調査結果を読めば、すべてではなくとも予測は可能になる。親の我が子に対する危険回避能力を鍛え方は、こういった地道な情報収集以外に道はないと思うのです。
うちの息子も鼻血を止めるために詰めたティッシュを鼻の奥に指で押し込んで取れなくなったり
関連記事 その子供の鼻血の止め方、間違ってないですか?正しい鼻血の止め方を再確認しておこう
よくよく思い出したら、2歳の時に椅子から落ちて鎖骨を骨折してます。ヒヤリハットどころの話ではない。
関連記事 2歳児が鎖骨骨折だあ?同じ境遇のパパママに伝えたい「慌てないで。大丈夫です」
この骨折エントリー、早いもので書いてから2年が経過してますが、我が子を骨折させてしまい自らを責め立てるパパ・ママの訪問が途切れません。
同じような後悔の気持ちを抱える親にならないために、子どもを危険な目にあわせないために、どうしたらいいのか。
本来であればあまり表に出てこない、よその家の貴重な事例から学ぶことは多い。偉そうに啓蒙しておりますが、自分も親としてしっかり学んでこれからも気をつけなければと改めて思ったしだいです。
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Comment
こんなことあるんだー、と思いながら読ませていただきました。
抱っこ紐のあたりは
抱っこ紐してて走っちゃダメでしょ、と思ったりもしましたが
どうしようもない事情があったかもしれない
詳しい状況わからず批判はしちゃダメだな
など考えつつ読ませていただきました。
おまけですが、
昔勤めていた耳鼻科で
耳掃除していたら後ろから子供が飛びついてきて耳に刺さった、という人が受診されたことがありました。
耳掃除は子供だけでなく、親も危険ですのでご注意を。
shizuさん
コメントありがとうございます。
それぞれの背景や事情は読み取れないのでなんともですが、こんなことあるんだーと自分も驚きながら調査結果を読みました。
耳掃除は親も危険。そこまでは考えたことなかったので勉強になりました。ありがとうございます。気をつけます。
初コメです。
「トイレトレーニングの記事」を読んでから、このブログのファンになっております。
毎回参考にさせてもらっていますが、特に今回の記事は為になりました。必ず嫁さんにも伝え、夫婦で一歳娘と三歳息子を安心かつ安全に育てていきたいですね。
有り難うございました。
てんあにばーさりーさん
はじめまして。コメントありがとうございます。いつも読んでいただいてこちらもありがとうございます。
参考になったようで良かったです。そうですね、自分だけ「ふーん」ではなく、奥さんときちんと認識を共有して同じ方向向くのが大切ですよね。自分も改めてそう思いました。
今後ともブログともども宜しくお願い申し上げます。