「サラリーマンの9割は税金を取り戻せる」ってホント?
2014/08/03
「サラリーマンの9割は税金を取り戻せる」という本を移動中の電車で読んでいる最中、メモ目的でツイート。
そっか。夫婦共働きで収入に差がない場合、子供が2人いたら、扶養を分散すれば節税になんのか。
— ねむたい (@kosodatedou) 2014, 7月 31
この発想なかったわ。お気に入りに入れてくれたフォロワーさんも同じかと。
最近、この手の節税の本を読み漁っているのですが、知らないことだらけ。
元国税調査官の著者は言います。「税金は知らない者が損をする世界」だと。
サラリーマンも自営業も関係なし。おそらく、みんな払わなくていい税金を余計に払って損をしている。
税金への知識武装が今ズグ必要だ!
「サラリーマンの9割は税金を取り戻せる」で学んだ「えっ?そうなの?」という税金の仕組みの一部分をシェアして、疑うことなく払っている自分の税金をちょっと疑ってみるエントリーを書いてみます。
こんな節税術、知らなかった!
同じ著者の大村大次郎さんが書いた「あらゆる領収書は経費で落とせる」という本は、「愛人への手当も経費で落とせる」と豪語。「情報提供料」という聞いたこともない勘定科目の出現に仰天しましたが、元国税調査官が言うのだから経費で落とせるのは本当なのでしょう。
今回の「サラリーマンの9割は税金を取り戻せる」は、サラリーマンに特化して書いたと言っていますけど、サラリーマンも自営業者でもかなり参考になります。会社勤めの人は特に自分がいくら税金払っているのかあんまり自覚してなかったりしますものね。
- ふるさと納税で、実質2万円の税金還付
- 禁煙治療をした人は税金2万円還付
- 民間の介護医療保険に加入して1万円還付
- 生命保険の見直しで3万円の節税
- 会社を辞めた人は税金5万円を払い過ぎていた
- 田舎の両親を扶養に入れて15万円の税金還付
- 家族の社会保険料を支払って3万円の税金還付
一例ですが、僕ら子育て世代に関係しそうな項目も山ほど。全部ピックアップしたいところですが、それだと本の丸写しになってしまうので、個人的に「へえ」と思った部分を集中的に抜粋。特に「ふるさと納税制度」と「扶養控除」は完全にナメてたので手厚くいきます。
ふるさと納税制度という究極の節税術
ふるさと納税とは?
自分が好きな自治体に寄付をすれば、その分、所得税、住民税が安くなるいう制度です。
具体的にいえば、自治体に寄付をすれば、所得税、住民税などが寄付金からマイナス2千円した額が還ってくるという制度です。たとえば、3万円寄付した場合、そのマイナス2千円、つまり2万8千円が還ってくるのです。
都会の人に、自分のふるさとに寄付をしてもらい、地方の財政を充実させよう、ということでこのふるさと納税制度は始められました。
2,000円の持ち出しがあるので「節税にならない」と思いきや、寄付した自治体がお礼として「特産品をくれる」場合がある。
自治体によりまちまちですが、1万~3万円程度の寄付をすれば3千~5千円程度の特産品をもらえる。鳥取県米子市は地元企業の協賛で、3千円以上の寄付で6千円相当の特産品がもらえるとか。
「ふるさと納税制度」自体は知っていても、手間がかかって面倒だと思い込んでおり、細かい節税効果は知りませんでした。これ、機会があれば別の記事で身銭切って検証したいと思いますが、ざっくり「いくらお得になるのか?」をまとめておきます。
いくら節税になるのか?
4つの自治体にそれぞれ1万円寄付した場合、寄付金は4万円になりますが、3万8千円が寄付金控除で戻ってくるので、実質負担額は2千円です。
つまりは2千円の負担額で2万円相当の特産品がもらえるわけです。
これってめちゃくちゃお得です。お得な自治体を選んで寄付をすれば、特産品が存分に楽しめる。実際そうやって楽しんでる人は多いようで、人気の自治体は特産品の枠が即終了というパターンがあると聞いたことがあります。
ただ、ふるさと納税には限度額があります。住民税から控除される額は、「住民税所得割額の1割」が限度です。細かい説明はすっ飛ばしますが、
普通のサラリーマン(年収400万円程度)の場合は、住民税所得割は20万円前後です。だから2万円くらいまで寄付できるということなのです。
自治体としても、ふるさと納税をあまり多くされてしまうと、人気のある自治体にばかり税収が集まるので困ってしまう。だから「ふるさと納税として認めるのは、住民税・所得割の1割だけですよ」ということなのでしょう。
なるほど、自治体側のいろいろなジレンマも見えてきます。
どうやってふるさと納税ってやるの?
1:ふるさと納税をしたい自治体をホームページなどでチェック。
2:寄付の方法は、自治体のホームページに載っている。
3:入金が完了すると、自治体から特産品と証明書が送られてくる。
4:証明書と年末に会社からもらう源泉徴収票と印鑑を持って、税務署へ。
5:確定申告をする。銀行口座番号持参で、ここに還付金を振り込んでもらう。
これを手間と考えるかどうかです。
お得じゃん!ふるさと納税
地方の自治体では、特産品を出してでも税収を増やしたいと思っているし、そういう自治体にとっては、このふるさと納税制度はありがたいものです。
でもふるさと納税をありがたく思う自治体ばかりではありません。都心部の自治体では、むしろ税収をもっていかれる立場となります。自治体としては、実は手放しで勧められないようになってしまったのです。
(中略)税制にはこういうことはよくあります。国民や住民に非常に有利な制度は、あえて積極的に広報しないのです。税金は知っている者だけが得をするようにできているのです。
ほとんどの人が知らない制度を知ることにより、「知らないことにより余計な税金を払っている」という状態から抜け出す。「ふるさと納税制度」は、その最たる仕組みかもしれません。
ちなみに「確定申告がめんどくさいなあ」と、そこで終わってしまいそうですが、サラリーマンの確定申告って項目少ないのでめんどくさくないですよ。自営業は死ぬけど。「まずはやってみる!」「まずは行動!」に移したもん勝ちだと思うのです。
控除による節税スキームを考える
年収500万円だと税金っていくら?
意外と税金をいくら払っているのかわからない人多いのじゃないでしょうか。
年収500万円で妻と子ども一人(小学生)を養っている場合、社会保険料を含む税金は100万4,500円。だいたい20%を持って行かれています。
所得税 | 10万4,000円 |
住民税 | 21万5,500円 |
社会保険料 | 68万5,000円 |
合計 | 100万4,500円 |
これに消費税、自動車税、ガソリン税などの負担を考慮すると、35%から40%を払っていることになる。
40%も・・・そこからいかに税金を減らすか?という話です。
扶養控除を考える
扶養している親族一人あたり38万円を、所得から控除できます。
所得税率が10%の人の場合は、扶養控除一人につき、3万8千円の節税になります。これに住民税の分が加わりますので、合計7万1千円の節税になります。所得税率20%の人ならば、11万円程度の節税になります。
扶養控除を一人増やせば、だいたい7万円以上もの節税になる。「扶養していること」「生計を一にしていること」の要件を満たせばOKとのこと。必ずしも一緒に暮らしている必要はない。
別居している親を自分の扶養に入れている人はいくらでもいるし、税務署がそれをとがめることもほとんどありません。
というより、税務署員自体が、この扶養控除を最大限に活用しています。税務署員の周囲に、だれの扶養にも入っていない親族がいれば、自分の扶養に入れてしまっているケースは非常に多いのです。
税に一番近い税務署員がやっていること。いかに効果が高いかという表れでしょうね。
「同居老親(同居している親)」の場合は普通の扶養控除より20万円上乗せされるそう。別居でももちろんOK。知りませんでした。
年金収入があっても、年金収入が年間158万円以下であれば扶養に入れるのも知らなかった。このへんは将来に向けて知っておいても損はないでしょう。
で、冒頭の子どもの扶養ツイートに続く。子どもが2人いる共働き家庭はけっこう重要な節税ポイントかも。
なんの疑問も持たずに、子どもを全部夫の扶養に入れてしまっている夫婦も多いようですが、これは非常に損していることが多いのです。別に世帯主の収入から控除しなければならない、ということはないのです。
所得に掛かる税金は、所得が高くなるほど税率が上がるしくみになっています。そのため、夫婦共働きの場合は、なるべく夫婦の所得が均等になるようにするのが節税のポイントです。
子どもの一人の場合は、単純に収入の多いほうの扶養に入れると良いでしょう。子ども二人で、夫婦の収入がほぼ同じ(40万円以上の差がない)場合は、分散して扶養すると節税になります。
これには「そうか!」と膝を打った。うちは今、共働きでもないし、子どもが二人いるわけでもないのですが、すごい納得。言われてみれば簡単なことなのですが、こういうコツって、意外と知る機会がない。
ちなみに、配偶者控除、扶養控除の登録は会社に提出する「扶養控除等申告書」に記載するだけ。変更する場合は「異動届」を出す。会社の経理担当者に聞いてみれば教えてくれるはずです。
扶養控除の節税威力をあなどらず、きちんと考えないといけないですね。ナメてました。
その他の控除も考える
「ほう・・・」と思ったポイントだけまとめておきます。控除について、これだけ知っているだけでもだいぶ違う気がします。
社会保険料控除
家族の分を払っても自分が社会保険料控除を受けられる。
雑損所得
いろいろ使えるので調べてみる価値あり。シロアリ退治や雪下ろしの費用が5万円以上かかった場合、5万円を超える部分を所得から差し引ける。
生命保険料控除
「一般生命保険控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」を全部駆使する。
医療費控除
治療に関する「市販薬」も対象となる。
ED治療、禁煙治療、不妊治療も対象。薄毛治療も国税が検討中で見解が曖昧なので試しに申告。ダメなら否認してくる。
歯の矯正も「子ども(未成年)の歯の矯正」に限っては対象。
医療費控除は「10万円以上」か「所得の5%」なので、10万円以下でも受けられる。
税金は知らない者が損をする世界
なんだか引用が多いエントリーになってしまいましたが。備忘録も兼ねてまして、まとめきれませんでした。自分の意見を差し挟む余地もなし。
税金に関する本を読んで常々思うのは、「知らないことは損」「自分で申告しないと損」という事実です。
「知らないことは損」というのはそのまま。知らずに余計な税金を納めていることが多い。税務当局は「多くは取る」けど「取り過ぎだ」とは教えてくれない。ここは自分で「知識武装」して財布を守るしかない部分。
「自分で申告しないと損」は、日本の税制は、納税者が申告したことに関しては原則認められるので「とにかく申告すべし」。
税務当局は「客観的に間違いを証明しない限りは納税者の申告を認めざるをえない」ので、びびらずにとりあえずなんでも申告してみる。否認されても追徴課税とかありません。単に却下されるだけです。
僕も確定申告で「微妙だな。まあいいや、えいやあ」と出してみて却下されたことありません。稼ぎが少ないから、相手にされてないっつー話かもしれませんが。
申告にはコツがあるので(この本でもポイントを説明している)それをうまく使ってやる。社会通念上許される範囲であれば、問題ない。めんどくさがらずに細かく勉強して肌感覚をつかむとともに、とにかく「知識武装する」ことが大切です。
今回紹介はしませんでしたが、家を買うつもりないのに「もしかして家を買ったほうがいいのか?」と考えさせられる節税対策なども網羅されてました。転勤あるのに、40歳前後で税務署員はみんな家を買うんだそう。興味が湧く話でしょ。
著者の大村大次郎さんの本は初心者でもわかりやすくておもしろいので、税金のお勉強のとっかかりとしては最適だと思います。
「税金を1円でも安く!」
「サラリーマンの9割は税金を取り戻せる」のはあながち嘘ではなく、よくある釣りタイトル本ではないと言っておきます。
こちらも勉強になります。確定申告虎の巻。
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