あの人気の絵本は印税をいくら稼いだのか?絵本作家の現実を見てみる
2014/10/02
子どもの夢に溢れる絵本を、お金まみれの¥マーク浮かべた目で見るなっつー話ですが、やっぱり気になる。
「あの人気の絵本を書いた作家さんは、印税をいくら稼いでいるのだろうか?」
そもそも、絵本作家って儲かるの?
印税のあれこれと、実際いくら印税を稼いだのか?を、こういうのちまちま調べるの大好きブログがまとめてみます。
絵本作家とは?を知る
経本作家の収入体系は?
絵本作家の収入は「原稿料」と「印税」から成り立つ。「原稿料」は数千円~数万円レベル。「印税」は売れた量に応じて。
いきなり絵本作家というわけではなく、漫画家からスタートしたり、イラストレーターや小説家と兼業する人も多いみたいです。
収入の選択肢は、最初に出版社に買い取ってもらって本がたくさん売れようが収入に影響のない「買取」と、売れただけ収入になる「印税」どちらかというパターンもある。
何となく、印税の方がいい‥‥と感じる人が多いですが、買取:60万円 印税:15万円その後は売れただけ‥‥だと、実際問題、15万円で終わることも多く、作家の多くは買取を選びます。食べていくには、そっちの方がよいからです。
引用 Yahoo!知恵袋「絵本の印税について」
絵本作家の方のコメントで、リアリティに溢れてます。なかなか厳しいですね・・・
新人絵本作家の出版部数は、2,000部~3,000部あればいいほうだと言われてようで、これだけでは印税生活ウハウハにはほど遠いのは想像にたやすいです。
絵本の印税の仕組み
印税は、絵本の定価の10%が相場。これは漫画や小説と変わりません。
原作者と作画が違う場合は、折半を話し合いで決める場合が多く、一般的には50:50。
ただ、作画側に実績があれば50もらえる話も、新人なら30という場合があったりと、状況により変わるようです。
作画のイラストレーターが、企画会社やキャラクター会社に籍を置いて仕事を請け負った場合は、印税なしで会社の給料のみという場合もあるみたいです。きっついなこれ。
いずれにせよ「絵本一本だけでご飯を食べる」というのは、なかなかハードルが高い世界のようです。
参考 マイナビニュース「絵本作家ってもうかるの? 元作家の方に実情を聞いてみた!」/キャリアガーデン「絵本作家の給料・年収」/Yahoo!知恵袋「絵本作家とはどんな仕事でしょうか」
あのヒット絵本は印税をいくら稼いでいるのか?
あの誰もが知っているヒット絵本は、印税を今までいくら稼いでいるのだろうか?を調べてみます。
印税算出の前提
- 印税を「絵本の定価の10%」と想定。
- 作画と原作者、翻訳者が分かれていてもトータルでもらえる印税をまとめて計算。
それではいくよ!
ベストセラー絵本の印税はいくらか?
上から15冊の絵本は、ウィキペディアの「ミリオンセラーの絵本一覧」を参考に、「過去をさかのぼってどの絵本が一番売れているのか?」のトップ15をピックアップ。残りはうちの息子のお気に入り絵本をチョイスしました。
絵本 | 発行部数 | 印税額 |
---|---|---|
いないいないばあ | 543万部 | 3億8,000万円 |
ぐりとぐら | 462万部 | 3億6,960万円 |
はらぺこあおむし | 356万部 | 4億2,720万円 |
てぶくろ | 296万部 | 2億9,600万円 |
おおきなかぶ | 273万部 | 2億1,840万円 |
ぐりとぐらのおきゃくさま | 264万部 | 2億1,120万円 |
ねないこだれだ | 263万部 | 1億5,780万円 |
しろくまちゃんのほっとけーき | 258万部 | 2億640万円 |
三びきのやぎのがらがらどん | 249万部 | 4億3,575万円 |
しろいうさぎとくろいうさぎ | 244万部 | 2億9,280万円 |
ノンタンぶらんこのせて | 240万部 | 1億4,400万円 |
いないいないばああそび | 239万部 | 1億6,250万円 |
ウォーリーをさがせ! | 225万部 | 2億9,250万円 |
きんぎょが にげた | 221万部 | 1億7,680万円 |
からすのパンやさん | 219万部 | 1億9,710万円 |
はじめてのおつかい | 213万部 | 1億7,040万円 |
100万回生きたねこ | 203万部 | 2億8,420万円 |
じゃあじゃあびりびり | 189万部 | 1億1,340万円 |
がたん ごとん がたん ごとん | 179万部 | 1億2,530万円 |
子育て家庭ならこの中のどれか1冊は必ずあるだろう、という超定番の絵本たち。どれも印税1億超えです。
ベストセラーシリーズの絵本の印税はいくらか?
あの有名な絵本シリーズ全体で、いくら稼いでいるかも算出してみます。
シリーズもので価格が違う場合は、印税算出は第1作の価格を基準とします。
絵本 | 発行部数 | 印税額 |
---|---|---|
アンパンマンシリーズ | 6,800万部 | 55億2,500万円 |
ノンタンシリーズ | 2,850万部 | 17億1,000万円 |
ぐりとぐらシリーズ | 2,100万部 | 16億8,000万円 |
松谷みよ子あかちゃんの本シリーズ | 1,000万部 | 7億円 |
ウォーリーシリーズ | 1,000万部 | 13億円 |
14ひきのシリーズ | 500万部 | 6億円 |
こぐまちゃんシリーズ | 500万部 | 4億円 |
だるまさんシリーズ(が・の・と) | 265万部 | 2億2,525万円 |
バーバパパシリーズ | 200万部 | 1億8,000万円 |
アンパンマンはもはや別格として、シリーズ化されるとさらに印税収入にブーストがかかるようです。
まとめ
売れている絵本はロングセラーだけ?
そもそも100万部も売れる絵本は、化け物です。
上のランキングを見ると、1位の「いないいないばあ」と2位「ぐりとぐら」が発売されたのが1967年。3位の「はらぺこあおむし」は1976年です。歴代ベストセラーランキング上位を占めるのは、1960年代、70年代に世に出た絵本ばかり。
自分が子どもの頃に読んでもらった本を、親が我が子へ買い与えたりと、そうやって息の長いロングセラーの絵本ができあがる傾向が見えます。実際、我が家もそう。むしろ、ロングセラーの定番本しか絵本は売れていないようにも見え、新規参入の壁は思っているより高いのかもしれません。
歴代1位の「いないいないばあ」の印税3億8,000万円を、発行から経過した約50年で割ったら、1年あたり760万円です。この1冊がずーっとこの金額を叩き出してきたと思うと、それはそれですごいことですが、大きな一発を短期間で狙う金額としては物足りない数字とも感じます。
絵本の売り方のパターン
見えてくるのは、映画と同じような売り方のパターン。
絵本が1冊当たれば、キャラクターを中心に据えてシリーズ化。
そして、「はらぺこあおむし」に見るように、本のサイズをいろいろ変えたり、グッズやCDといった1冊の本だけに留まらず、ヨコ展開をして広く稼ぐ。
あわよくば、映像化。
ひとつのキャラクターやパターンに人気が出れば、市場は比較的安定しているので、絵本作家としてシリーズ化とヨコ展開で腰を落ち着けて稼ぐことはできそうです。そこまで行くのが大変なのは、冒頭のお話で十分理解していますが。
近年出版されて人気の「だるまさんシリーズ(が・の・と)」や「100かいだてシリーズ」などは、10年後20年後も人気を保ちそうです。そして何十年後に、こういう僕みたいな変なやつに、稼いだ印税をちまちま計算されていじられていたりするのかも。
「今、子どもに読み聞かせしてあげている絵本は、印税で「億」を稼いでるのね」
そんな俗世の垢と煩悩を抱え、今晩も息子の絵本の読み聞かせに励むとします。
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